秋、それぞれ。
私はビールが好きです。軽い飲み口が喉に染み渡るラガー。心落ち着かせる芳醇な香りのエール。製法から大別するとビールはこの2種類に分けられますが、実はそれぞれのカテゴリの中にも細分化されたスタイルが存在しています。特に私がお気に入りなのは、ズンとした香りと苦みが特徴のIPAと呼ばれるエールの一種です。
もともとは18世紀頃のヨーロッパで生まれたIPA。諸説ありますが、長い航海のなかで普通のビールは腐ってしまうので、防腐のために高いアルコール度数とたくさんの香料で仕立てる工夫がその始まりと言われているようです。
そうまでして海の男たちはお酒が飲みたかったのか。――たしかに、私も海に関わる者の端くれとして、その気持ちは良くわかってしまいます。今も昔も、たぶんいつの時代も変わらない。まさか大好きなビールを通して人間の普遍性を見出してしまうことになるとは、あなおそろし。
一葉知秋。長い与太話もここまでにします。愁思の季節ももうすぐそこです。このページをご覧になっている皆さまも、戯れにご自分の好きな事柄について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。明るい気持ちになれるかもしれませんし、もしかしたら人生を楽しくしてくれるようななにかを再発見できるかもしれません。
訓練課 八木澤